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コラム




珍商売

今から十年ぐらい前のことです。日本から持ってきた100円ライターのガスがなくなったのでごみ箱に捨てようとしたらおばあさんにとがめられた。当時片言のタガログ語しか理解できなかった私は、お手伝いさんの身振り手ぶりで捨てるなと言ってることは何となく理解できた。
ある日サイレンのようなものをつけて、けたたましく疾走している自転車が自宅前にとまった。
なんだろうと思った私の横を、お手伝いさんが、ガスの亡くなったライターをもって暴走自転車野郎の前に立った。
そこですべての謎が解けた。なんとその人は「使い捨てライターガス注入職人」だったのだ。
眼にもとまらぬ早わざで上部の部品をばらして、火が出る細い管からガスを注入した。
もう一個の方は上から入らないらしく、下のプラスチックの部分に小さな穴を開け注入して、ガスが漏れないように虫ピンで穴をふさいで余った部分をペンチで切り落とした。
これで一個5ペソだった。
ただガスの種類が問題だった。ライター用のガスではなく、ガスコンロに使うLPGガスだった。
煙草に火をつけるたびアセチレン臭かった。今ではフィリピンにも使い捨てライターが安い値段で見かけるようになったので、ガス注入職人は転職を余儀なくされたのではないだろうか?